WealthNaviの不都合な真実

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WealthNaviユーザーの皆様、いかがお過ごしでしょうか。2月のVIXショック以降、削れた含み益がなかなか元に戻らず、ヤキモキしたり長期投資だからまあいいかと思ったり、考えるところ様々だと思います。僕なんて含み損になってますからね。

さて今回は、WealthNavi「世界水準の金融アルゴリズム」と謳っている資産運用手法を紐解いてみます。サイトではめちゃめちゃヨサゲなセールストークを展開しているのに、下げ相場ではマイナスになってしまう、これって一体どういうこと?を解き明かすわけですね。

WealthNaviの資産運用アルゴリズムとは

WealthNaviでは、資産運用のアルゴリズムを開示しています。これはなかなか好感触。
WealthNaviの資産運用アルゴリズム
まあ、表のサイトほどの派手さが無いのはご愛敬。全16ページ。読む気力のない方にポイントをまとめてみます。

  • 取扱い資産は「米国株」「日欧株」「新興国株」「米国債券」「物価連動債」「金」「不動産」の7種類
  • 資産は米ドル建て
  • 7種類の資産を元に、リスクリターンに応じた5種類のポートフォリオを作成
  • ユーザーは、5種類のポートフォリオのうちどれか1つを選んで投資
  • リバランスは、半年に1回、またはポートフォリオ内の資産バランスが崩れた際に実行

まとめて言ってしまえば簡単なものですが、それぞれに工夫が凝らされているので、投資の素人がパッとできるものではありません。僕にもパッとできません。それがWealthNaviのメリットであり、手数料が資産の1.0%(年率)である理由なんですね。

ポートフォリオ理論とは

WealthNaviの謳い文句、ノーベル賞を受賞したハリー・マーコビッツ氏の「ポートフォリオ理論」が使われているのは、その名の通りポートフォリオの作成部分でありまして、平均分散法を使っています。平均分散法についてはこちらのサイトが分かりやすいです。

平均分散モデルとは・メリットとデメリット

資産運用においては、不確実なリターンよりもより不確実性が低いリターンの方が価値があると考えられており、同じリターンであればリスクが低い投資方法を選択するのが望ましいという考え方があります。この考え方に基づくと、同じ期待リターンの投資案件が複数あった場合には、より価格変動のリスク(標準偏差)が低い投資案件を選ぶことが合理的であると考えることになります。
(中略)
平均分散モデル・平均分散アプローチは、投資する資産の組み合わせ方法(ポートフォリオ)を決める方法です。
(中略)
ポートフォリオのリターンとリスクを求めるためには、ポートフォリオに組み入れる資産のリターン(期待値)リスク資産間の相関係数を求める必要があります。

儲けが同じならより安全な手段を選ぶ、ということですね。とっても分かりやすいです。しかしこうしてみると、WealthNaviの「世界水準の金融アルゴリズム」とか「ノーベル賞を受賞した云々」とかいう謳い文句は、ちょっと煽りすぎかも、という気がしてきます。そんなこと言ったら今の世の中、いたるところに世界水準のアルゴリズムとノーベル賞を受賞した云々で溢れかえっていますからね。

元本割れのリスクと疑問点

とってもいい感じのWealthNaviですが、リスク資産を取り扱っているわけで、元本割れのリスクがあります。主なものは以下。

  • 為替変動リスク:円安になれば儲かるけど、円高になれば損をする
  • 相場変動リスク:取扱い資産自体が高くなったり安くなったりする

昨年末にWealthNaviを使い始めた僕は、両方の損失を食らっています。ドル円は113円から106円になり約-6%の下落、NYダウはVIXショックで下落して以降は横ばい。そりゃ元本も割れるというもの。痛いです。正直、痛いです。

でね、為替変動リスクの方はまだいいんですよ。「米ドルは基軸通貨だから、長期の国際分散投資に向いてる」理論は、まあ正しいような気がします。日本とアメリカ、長い目で見て経済的に安定しているのはどっちと問われたら、アメリカかな~と答えますもん。

しかし、しかしです。相場変動リスクがあって、それで損失を食らうのは「あれ?」と思いませんか?世界水準でノーベル賞のポートフォリオ理論で、リスクの低いポートフォリオを作り出しているんじゃなかったでしたっけ。確かに僕は5種類のポートフォリオの中で最も高リスクのものを選んでいますけど…。あれ、WealthNaviってリスクが低いんでしたっけ高いんでしたっけ。よく分からなくなってきましたよ。

WealthNaviの弱点

とまあ、いい感じに混乱してしまいましたが、疑問点は次の一言に集約されます。「上手いこと作り出したポートフォリオが、相場変動リスクによる損失をいとも簡単に受けてしまうのは何故か?」です。

理由は簡単です。ポートフォリオの作成に使った平均分散法を思い出してください。この手法のインプットは、「リターン(期待値)」「リスク(標準偏差)」「資産間の相関係数」でした。WealthNaviのアルゴリズム資料を眺めてみた時に、弱点はどこにあるのか。

リターンの算出(Black-Littermanモデル使用)やリスクの算出に、ちょっとした味付けがされているようですが、それは大したことではありません。未来の完全なる予測は不可能ですからね。ベストでなくてもベターであればまあ良し。

問題は資産間の相関係数です。以下がWealthNaviの資産間の相関係数です。


出典:WealthNaviの資産運用アルゴリズム

相関係数は、1に近づけば近づくほど正の相関があり、逆に-1に近づけば負の相関があります。0.2から-0.2の場合はほとんど相関がありません。

つまり、WealthNaviのポートフォリオを構成する7種類の資産は、正の相関がありすぎるのではないか、ということです。相関係数からすると、ざっくりと以下の2グループに分けられます。

  • グループA:「米国株」「日欧株」「新興国株」「不動産」
  • グループB:「米国債券」「物価連動債」「金」「不動産」

しかもこの2つのグループには、少しだけ正の相関があります。とすれば、WealthNaviのポートフォリオは、リスクリターンの強弱はあるにせよ、どう組んだところで概ね一つのカゴに盛られた卵である、ということです。なので、以下のようなオールマイナスの状態にもなりうるわけですね。

これが、端的に言ったところのWealthNaviの弱点です。言うほど分散投資になっていないということです。

WealthNaviを擁護する

「じゃあ、WealthNaviなんて意味ないじゃん。さっさと止めようぜ」という話かというと、そうでもありません。たぶんWealthNaviの資産運用方針は、「長期スパンでの成長が見込める米国株、米国債を中心に、リスクを適度に分散したポートフォリオを組んで運用する」だと思うんですよ。

例えばね、WealthNaviのようなやり方ではなく、ある資産を軸に、負の相関を持つ資産でポートフォリオを組んだとしましょう。そうすればトータルの資産は安定しますが、儲けが損失で打ち消されてプラマイゼロ、みたいなことになります。ここで、世界標準の金融アルゴリズム(笑)の平均分散法を持ち出してくると、「プラマイゼロだったらそんなリスク含みの投資は止めて元本保証の銀行預金でもしておけ」という結論になります。

WealthNaviも資産運用サービスを提供しているわけですから、リターンを提供できないのでは意味がない。なので、できるだけ安定した手法を採用して、リスクリターンを組み立ててサービス提供しているわけですね。ただ、僭越ながら指摘させて頂くとすれば、以下をもっとはっきりと明示して欲しいんですよ。

  • 主にアメリカの長期スパンの成長に対して投資し、資産運用するサービスである
  • 為替変動リスクはドル円次第
  • 相場変動リスクはアメリカの景気次第

まとめ

正直なところ、WealthNaviに結構マネーを突っ込んじゃったし、含み損を抱えているし、今、損切りするわけにもいかない。なのでWealthNaviさん今後もともよろしくお願いしますとしか言えないんですけども、夢のようなセールストークはもうちょっと控えめにした方が、後々よろしいのではないでしょうか、というのが申し上げたいところで御座います。

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