株トレードは不完全情報ゲームであり、取りうる戦略がある

株のトレードを「対戦相手のあるゲーム」と捉えれば、どういう分類になるのでしょうか。例えば、囲碁、将棋、チェス、オセロなどは「二人零和有限確定完全情報ゲーム」に分類されます。単語を区切ると、「二人」「零和」「有限」「確定」「完全情報」です。実に長ったらしい名前ですね。
二人零和有限確定完全情報ゲーム – Wikipedia

株のトレードは対戦相手の手、すなわちトレーダーの資金の量が見えないので、完全情報ゲームではなく不完全情報ゲームに分類することができるでしょう。麻雀やポーカーなど、相手の手が見えないものに似ています。では、もうちょっと突っ込んで分類してみるとどうでしょうか。またその結果、見えてくる戦略とは?

プレイヤー数

プレイヤー数は二人どころか、かなりの多数です。何人参加しているのか、ちょっとよく分かりません。各証券会社の個人投資家を足し上げれば分かるでしょうか。海外のトレーダーもいますし、大口の機関投資家や仕手筋、日銀やGPIFだっています。混沌としてますね。不平等なMMORPGみたいなものと言えるでしょう。

利得の合計

各プレイヤーの勝ち負けの値を合計するとどうなるでしょうか。「零和」というのは、勝ち負けの値の合計が零になることです。先に挙げた囲碁、将棋などは、自分が勝てば相手は必ず負け。両者そろって勝ったり負けたりはしないので零和ということです。
株トレードの勝ちが「利益の増加」であり、「株価は変動するもの」とすれば、株を安く買って高く売り儲けたその向こう側には、同額で、高く買って安く売り損した人がいます。つまり零和であります。
会社が株主に出す配当金(インカムゲイン)や、証券会社が取る手数料などを考慮すると零和でなくなってきますが、ことトレードにおいては零和と捉えた方が正確だと思います。

有限性

これは、ゲームに終わりがあるのか、ということです。例えばオセロは、盤面に石を置ききれば終わるので有限です。株トレードの場合は、上手くすればかなり長い間プレイできますが、零和ゲームであり資金が有限なので、資金が尽きれば退場となってゲームオーバー。逆に、十分に儲けて勝ち逃げすることもできます。また、銘柄の上場廃止エンドもありますし、有限と言えるでしょう。

確定性

ゲームに運の要素が入っているかいないか、ということです。サイコロや牌のシャッフルがある麻雀は、不確定ゲームです。では株トレードはどうでしょう。株の値動きは予測しにくいですけども、全て、プレイヤーの売買の結果による確定的なものです。買った株がルーレットの結果で半値になったりしたら困りますもんね。というわけで、株トレードは確定ゲームです。

情報の開示性

冒頭でも触れましたが、株トレードはプレイヤーの資金の量が見えないので不完全情報なゲームです。開示されているのは株価と現時点の売買注文の量、それと株の大量保有報告書(5%ルール)です。誰が売買の注文を出しているのか、どのタイミングで売買の注文が出されるのか、それと小量の持株情報は分かりません。その上、プレイヤーの資金の量は同一ではなくバラバラ。これらが開示されていれば、もっと簡単にトレードできるんですけどね。開示されていないのが株トレードの難しいところです。

株トレードの戦略

こうしてみると株トレードは、「多数零和有限確定不完全情報ゲーム」と分類することができるでしょう。ではこのゲームで勝つ方法は?

ゲームの仕組みは単純であるものの、不完全情報である点がゲームの難易度を上げています。なので、いかに正確な情報を仕入れるかが大切です。例えば、全てのプレイヤーの資金の量、持株の量、売買注文のタイミングが開示されていれば、対抗策を考えるのは容易になるでしょう。まあその場合は自分の情報も開示されるので、相手にさらに対抗策を取られるという別の難しさが出てきますね。

加えてこのゲームは基本的に、資金の量が多ければ多いほど有利にゲームを進められるので、勝つためには以下の戦略が考えられます。

  • 資金力を上げる
  • 資金力の大きいプレイヤーの手を読んで対抗策を取る
  • 多数のプレイヤーの手の動向を読んで対抗策を取る

逆に、不完全情報ゲームの宿命でありますが、このゲームで自分の情報を開示すると一気に不利になります。相手に簡単に対抗策を取られます。同様に、相手が出す情報に踊らされるのも負けに繋がります。心当たり、ありませんか?
ちなみに大量保有報告書、これって正に資金力で有利なプレイヤーに対するハンデと言えますね。そう考えると面白いです。

まとめ

株式市場はいろいろな側面があり、いろいろな捉え方ができますが、トレードをゲームとして捉えてみると、戦い方も見えてくるというものです。
あと、株の格言は、先人の経験則によるヒューリスティック・アプローチと言えます。このゲームの分類とよく合うので面白いですよ。その話はまたいずれ書いてみたいと思います。

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